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大和 9


以下、R15表現があります


途中で寄ったコンビニで特に用もなくウロついていると、人気の猫のキャラのぬいぐるみが目に入った。

そういや俺、メシとかは奢ってるけどあいつに何かあげたことなかったな。
たいしたもんじゃないけど、こういうの好きっぽいし喜ぶかな?

鞠が普段使っている手帳や小物を思い浮かべ、それを手に取った。
ちょうど手の平にのるくらいの、ストラップやキーホルダーになってるやつ。
首に鍵の形をしたアクセサリーがついてる。

あいつ、誕生日は11月って言ってたしクリスマスもその1ヵ月後だ。
大体俺、ヤキモチ妬きすぎだし・・・あいつは俺のこと心配して黙ってくれてたっていうのに。
お詫びにはなんないと思うけどたまにはいいかな、こんなのも。

レンタルショップに戻って、店の前で立って家に電話をかけていた鞠をピックアップして、 いつ渡そうかな〜?と考えていたら車の中では何も話せず、また距離もそんなにないのですぐに部屋に戻った。

部屋に上がって、俺が話さないせいでなんとなく黙っている鞠の目の前にぬいぐるみを突き出した。
鞠は目を輝かせ

「あ、チャーミー!可愛い!」

って。
・・・チャーミー?何モンだそれ?

「これはペットのチャーミーだよ」

って。猫が猫飼ってんのか?と言ったら、そういう設定なんだと言う。
よくわからん・・・。

「まぁ、いいやこれお前にやるよ」
「ホント?」
「うん、つってもコンビニで買ったやつだからたいしたもんじゃないんだけどな」
「ありがとう・・・」

鞠は、嬉しそうにぬいぐるみを眺めている。

(なんかいつもより少し大人っぽく見えるのは髪形のせいかな・・・女っぷりが上がってる気がする)

髪がアップされて白い首すじが際立って細く見えて、いつもより数倍可愛くみえる。
こんな姿で人のいるところをウロウロしてたのか・・・。

そう思うと先ほどと同じイライラが募ってくる。でも、それが鞠を困らせているのかもしれない。
鞠だってただちょっと遠慮しただけだ。
俺の邪魔をしてるんじゃないかってずっと心配してくれてたんだから。
そんな風に気を使ってただけなんだよな。

(・・・なんかちょっと、俺って情けないかも・・・)

両腕が自然に、華奢な肩を引き寄せていた。柔らかい、温もり。

「鞠、ごめん・・・」
「え?」
「俺妬いてばっかで、なんか悪りぃって思って」
「・・・」
「最初浮気しないでって泣いたのは鞠だったけど、今は俺が泣きそう」
「大和・・・」

突然謝られて、されるがまま腕の中に収まってくれた鞠が愛おしかった。

「今日髪型違うんだな、いつもと」
「あ・・・うん。長くなったからアップにできるようになって」
「かわいい」

俺はそこで、今までで1番に素直になれた気がした。
冗談ぽく好きだ、とかかわいい、ってしょっちゅう言ってたけど、今日は本当に脚色なく素直に言えた気がしたからだ。

けれど。
俺が今までのことを謝ると、鞠は

「ううん、私もダメだったの。ミーちゃんと買い物って、ちゃんと言えばよかったのに言わなかったから」

とか

「それに、大和のヤキモチ、イヤじゃないよ。大和がヤキモチして怒るたび、大和が私のこと好きだってすごく分かる。
 この間のHのときすごく怖かったけど、でも、大和の気持ち嬉しい。だから平気だよ?」

とか笑顔で言う・・・。
頼むからそんな可愛くて優しいことを言わないでくれ・・・ますます俺ダメ男じゃん・・・。

落ち込んでいると、鞠は俺を励まそうとするように話を続ける。

「私も怖い。大和が、学校でどんな生活してるか知らないから。
 どんな人と会って、どんなことしゃべって笑ってるのか、知らないから。
 でも、大和が好きだって何回も言ってくれたり、抱いてくれたり、ヤキモチやいてくれるとすごくホッとするの。
 よかったって。同じ気持ちなんだなって、思うの。だから・・・」
「・・・だから?」

自分の思いを一生懸命紡ぐ鞠に、俺は思わず聞いていた。

鞠が、つま先を精一杯伸ばして、俺の髪を撫でる。柔らかい指先がそおっと俺の前髪に触れた。
俺が少し腰をかがめると、頬に優しく微笑みを浮かべて、細い腕を俺の首に巻きつけてくる。

「怖がらなくって、いいよ。私も、怖い。一緒だよ」

目の前にある恥ずかしそうな瞳。

「大和、大好き」

小さな声でそう囁いて、照れたようにまた微笑む。

(・・・・くぅぅ。もうダメ・・・)

陥落。降参。可愛すぎです。

たまらずベッドに押し倒した。
けど鞠は俺の体に下敷きにされる前にするっと抜け出し、大事そうにチャーミーを机の上に置いた。

「なんだよ〜、俺よりチャーミーかよ〜・・・」

なんだかムッとしてベッドに仰向けにねっころがった。
すると鞠は自分からベッドの上で寝転んだままの俺に顔を近づけてきた。

謝るつもりなのか?
こんなことで謝られてもしょーもないっつーの。

けれど、どんどん顔は俺のそれに近付いてきて・・・・

(え・・・)

鞠はそのまま、自分から俺にキスをしてきた。
一瞬だけ・・・思考が止まった。

頬をなでられ鞠の柔らかい唇が俺の唇に触れ、恐る恐る、舌をさし入れてくる。
キスだけでもちょっとビックリしたのに、その小さくて柔らかい舌が唇の間をすり抜けてくる感触だけで自身がピクリと反応してしまう。

そんなことも気付くはずもなく。ゆっくりと俺の口内を探る鞠。
俺はその舌をからめとり、体をぐいっと引き寄せてふたたび押し倒した。

「んっっ・・・」

くぐもった声。けれど抵抗はされなかった。
お互いの舌を絡めあい唾液を交換しあうような長いキスのあと唇を離して、俺は心の声を言葉にして吐き出してみる。

「あー!!めちゃくちゃにしてー!」
「めちゃくちゃ・・・?」

意味が分からないのか、キョトンとした顔だ。
わざと、キスだけで堅くなっているそれを押し付けてみせる。

「あぁ、めちゃくちゃ。鞠がちゅ〜してくるから・・・もう止めらんねぇかも」

そこで初めて、自分の太ももに当たっているものが何か気がついたのだろう。
鞠はあとでみんなに会うとき恥ずかしいからイヤだと言って俺を拒んできやがった。

「・・・そんな鞠も見てみたいけど」

とちょっとSMチックなことを言ったら「だめ!!」ときっぱりお断りされ。
ガックリ・・・。
まぁこのピュアさがあるから、してるときの反応が余計にエロっちく見えてたまんないんだけどさ。

その後、軽くいちゃついては鞠がやたらと抱きついてくるので、俺はいろいろこらえるのに一生懸命だった。
最終的には

「コラ、しないんならくっつくなよ、ガマンしてんのに・・・俺で遊ぶ気か!」

と叱ってしまった。
ちょっとしゅんとしてたけど、ったく・・・俺のことも少しは考えろよ。
次会うときまで生殺しだぞ・・・

しかしキスだけで勃っちまったって俺、何年ぶりだろ。
最近マジ早漏気味だし・・・鍛える方法って、なんかねぇかな?

 

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