飲み会の次の日11時ごろ現れた大和は、もんのすごくぼ〜っとしていた。
しかも時々一人でヘラヘラ笑っている。気持ち悪い・・・。
「大和。おい、大和ってば」
「ん?・・・なんか用か?」
「なんか用かって・・・昨日、仲山さん大丈夫だったの?」
「あぁ、あのあとすげー寝てたから、今日は元気に仕事いったよ」
多少面倒くさそうに、それでも俺の聞いたことには答えてくれた。
「そうか、よかった・・・」
「むしろ俺のほうがシンドいっす」
「え?」
「いや、なんでもねーよ」
大和はあ〜〜〜眠ぃぃぃぃ!!と頭を抱え、
「夜からバイトだしやべーなぁ、やっぱちょっと寝てくるわぁ」
といってどこかに消えていった。
昨日、俺も2時過ぎまであの店で飲んでいてそのあとそのまま大学に戻ってきていたので正直眠かった。
まぁ帰るところも正直なかったし、そのほうが気が紛れたからちょうどよかったんだけど。
店では後半やたらミーちゃんが話しかけてきてくれたし。
「ヒカルくんはさぁ、好きな子いないの?」
「いや、今のところは・・・」
「えーもったいなぁい」
「な、なんで?」
好きな子がいないともったいない?なんだそれ。
「だって結構かっこよくない?髪の毛とかボサボサだけど、オシャレにしてたらわりとイケそう」
「あぁ・・・それ、大和も言う」
そう言われるけど。意図はよくつかめないままだ。
「やっぱりー!ねね、シノヅカくんもそう思わない?」
「あー。でも青木は相当オタクよ?」
「そんなの黙ってたら分かんないよ〜。絶対おしゃれとかしたほうがいいって!」
突然腕をぐっと握られ、俺は思わず身を引いていた。
酔っ払っているわけでもないようだし元来積極的なタイプなのだろうか。見た目から察するに・・・。
「いや…あの俺、そういうのスゴイ苦手なんだ」
「マジ?!あたしがコーディネートしてあげようか?」
「いや、いいよ」
「なんでぇ?」
「なんかすごい派手にされそう・・・」
こういう直球タイプには正直に思ったことを話したほうがかえって場が落ち着くことを、俺は店長との付き合いで身を持って知っている。
案の定あっけらかんとした笑い声が、賑やかな店内にカラカラと響いた。
「あはははは!バレたぁ?」
「バレるよ・・・」
濃いメイクの内側に、子供のような無邪気さを持っていることに安心しつつ苦笑いで返すと、篠塚がぐいっと話に入ってきた。
目が据わってる・・・今日はかなり呑み過ぎているようだ。
まさか鞠ちゃんみたいに倒れたりはしないと思うけど、大丈夫かな・・・。
「ミーちゃん、俺は?俺をコーディネートしてくれ!」
「ん〜、シノヅカくんかぁ、まぁいいよ。道は険しいけどついてこれるぅ?」
「・・・え、どんなことする気なの?怖っ・・・」
ミーちゃんはやたら篠塚と意気投合して連絡先を交換していた。
そして彼女は何故か俺にも連絡先を聞いてきた。
「なんかぁ、ヒカルくんって話してて落ち着くって言うかさぁ、けっこうハッキリ言ってくれるから、すごい助かるかも」
だそうだ。
そうなんだろうか?俺にはよく分からない。
でもとりあえず彼女と篠塚のおかげで平常心でその夜を過ごすことができた。
それはすごく感謝しなくちゃな、と思っていると。
ミーちゃんです 昨日は楽しかったね![]() さて、コーディネートの日取りだけどいつがいいですか? 絶対悪いようにはしないからさ、あたしにまかせてみてよ〜〜 返事待ってまぁす![]() ![]() ![]() みく ![]() ![]() |
(早速のメールだな・・・しかも、いつの間に俺がコーディネートされることになってるんだ。断ったのに・・・)
返事に困り、隣のゼミで実験をしていた篠塚をメシに誘ってメールを見せると、爆笑。
「あ〜、絶対するからね!って最後のほう言ってたかも知れない」
「そうなの?聞いてなかった」
「別にいいじゃないの〜。一日くらい女の子に付き合ったって」
昨日の深酒が効いたのか少しまだ顔色の悪い篠塚だが、機嫌は悪くないらしい。
機嫌が悪いとヒネたことを言っては相手を攻撃することがあるので、わりと分かりやすい奴なんだ。
「それは、そうかもしれないけど・・・」
「それにさ・・・いきなり二人きりになるの俺もドキドキしちゃうからさ、ついてきてくれよ」
「え・・・好きなの?」
「う〜〜〜ん、まだそこまでじゃないんだけどさ、なんかちょっといいなぁってさ」
好き、というよりは友達のノリだった気がするんだけど・・・
けれど俺はこういうことには疎いから、その印象自体もあまり自信はない。
「そうなんだ」
とりあえず無難に返事をしておく。まぁ、そういうのなら・・・。
ニマニマと嬉しそうにしているし、そういうことなら断るほどのことでもない。そう思った。
「な、頼む!」
「・・・分かった」
俺はミーちゃんに返信をした。
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こんにちわ。輝です。昨日は俺もおもしろかったです。 コーディネートって、もともと篠塚だけの話だったよね? ![]() 篠塚がとにかくやる気になってるので、二人まとめて・・・でもいいかな?日取りは任せるよ。 |
返事はすぐに帰ってきた。
おっけー 二人まとめてやったげる うわ〜。すごい楽しみ![]() じゃあ土曜か日曜のお昼は空いてる?? ![]() ![]() みく ![]() ![]() |
篠塚にメール画面を見せて頷くのを確認してから、返信。
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じゃあ日曜でOKですか?時間は昼からで。 あと、篠塚がお金いくらくらいもっていったらいいのかって聞いているんだけど、どうなんだろう? |
と送ると、1分もたたないうちに返事が返ってきた。早い・・・どんな指してるんだ。
日曜、1時ごろでいいかな?大学まで迎えに行くよー![]() 前で待ってて![]() お金か〜 とりあえずヒカルくんは美容室代、覚悟しててね!![]() そんなに高いところ行かないからあとは大丈夫だよ じゃ、またね![]() ![]() ![]() みく ![]() ![]() |
"了解です。よろしくお願いします、ではまたね。"
そう送信したあと、何だかへんなことになったなぁ・・・とため息をついた。