「わぁぁ・・・・・・」

目の前に広がる、青い、碧いパノラマ。
遠くの上のほうから白い光が漏れ、まるで宝石か何かのように光って見える小さな魚の群れ。

「でっけぇなー」

ただでさえ勇壮な姿のジンベイザメがもう1匹増えたのだから、迫力も2倍だ。
泳ぐ姿はまるでこの大きな水槽の長のようにも見える。

彼女はサメよりもイルカが見たいと言っていたんだけど、
イルカにたどり着く前にこのでかい水槽がお目見えしてしまったので、今はそちらにくぎづけだ。

「でも、小さい魚を見てるだけでも、楽しい」
「同類だから?」
「・・・そうですよーだ」

身長が小さいことが多少コンプレックスになっているらしい彼女は、からかう俺からぷいっと顔を背けすねてみせた。

「せんぱ・・・、たっくんには分かんないもん、小さい人の気持ちなんて」
「ごめんごめん、悪かった」
「もー。全然、反省してない」
「してるってば」

先輩、じゃなくって名前を呼んでよ、敬語もやめてよ、って頼んでからどれくらいたったかな。
少しは慣れてきたらしいタメ口と、いまだ慣れないらしい俺の呼び名。
たっくん、って自分でつけたくせに。
言うたびに恥ずかしそうにするのが、いつもおかしくて。つい口元がほころんでしまう。

「ほら、イルカとペンギンはもう少し先だぞ」
「・・・ごまかさないでよぅ」
「ごまかしてないよ、何にも」

手をとって。きゅっと力を込めて握り直す。
それだけで少し機嫌を直してくれるところも、全てが愛しい存在。

胸もとの小さな天使の卵が、碧く染まったままキラリと揺れて、彼女もまたふんわりと微笑んだ。
そう、いつもの天使のような微笑みで・・・・・。




END