いつも見ている横顔。
軽く脇に流された前髪と、肩につくくらいの長さの横の髪に邪魔されるけど、それでもその瞳はいつも同じ方向を見ているのはすぐに分かった。
もう少ししたら、出発してから2つ目になる駅について、彼女の友達が乗ってくる。
するとそれまで見つめていたことすらなかったかのようにきゃいきゃいはしゃいで、担任の教師が太ってて暑苦しいだの、クラスメイトの誰それがしつこくてウザいだのと話し始める。
周囲の大人たちが眉をひそめるのも構わずに、大声で、身振り手振りもオーバーに。
そして、出発してから5つ目の駅。
僕が降りる駅と同じ駅で、彼女とその友達は一緒に降りる。
笑い声も盛大に、何をそんなにおかしいことがあったのか体をくねらせ手を叩きながら降りる。
けど電車を降りる一瞬、彼女の瞳がまた同じ方向を見る。
弾けんばかりの笑顔が、そのときだ少し切なげに曇るんだ。
そのとき、僕の心も同じように切なくなる。
彼女の瞳に映っているのはたった一人だけで、それはけして僕ではないから。
「また見てたのか?」
可笑しそうに近寄ってくる、いつも同じ駅で降りる友人。
「あぁ」
「お前も飽きないね。告っちゃえよ」
結果が分かっているのに?
そんなこと僕には出来ない。彼女の横顔をそっと見つめるだけでいい。
あぁ、そしてまた。
彼女がこちらを向く。恋し求め見つめるその瞳が、まっすぐこちらを見ている。
「ほら、こっち見てるじゃんか」
友人は気がつかない。
ニヤニヤ笑い、僕の恋を面白い話題にして、駅から目的地までの短いひとときを過ごす。
僕は。彼の注意をひきつける。
ずっと、ずっと彼女の瞳がこちらを見つめるように。
その瞳を、ずっと見つめていられるように。
|
|