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「俺、彼女何人かいましたよ」
「ウソッ」
「嘘じゃないっすよ」

ここは、隣県にある有名な遊園地。
どうにか漕ぎ着けた最初のデート地だ。

"ジェットコースター乗りたい、あそこの、最新最速のヤツ"

という佐藤さんからのリクエストにお答えして。
彼女からしたらジェットコースターのおまけに俺、な感覚だけど俺からしたら天にも昇るような気持ちだ。
例え・・・

「アンタみたいなもっさいオトコに彼女がいたなんてアリエナイ!」

通りすがりの人がぎょっと振り返るくらいの大きな声で暴言を吐かれても、だ。

「そんなにありえないっすかね・・・」

これでも俺、アメフトでは結構イイ線行っててですね。
少ないながらもファンとかいたんですよ。
だから中学高校のときは置いといて、大学時代は女の子で苦労したことなんてなかったんすよ。

・・・そう言いたかったけど。やめておくことにした。
大体、せっかくのデートの日には、そんな自慢話は下らない話題に思える。

「ありえないっすっ!」

言い切って、「あ、今度はアレ乗ろうよ」とこちらの袖を引っ張ってきた。
意識されていないからこその気さくな仕草。思わず顔が二マーっとしてしまう。

「・・・何ニヤけてんのよ」

暴言を吐く唇は、ぽってりと愛らしいピンク色。
今日はとことんまで乗りつくすのだと気合を込めてアップされた髪。
普段見ることの出来ない耳の後ろや、細くて白いうなじが露出されている。可愛い。だからそれでもう、いい。

「どれですか?早く行きましょう」
「ちょっとー、質問に答えなさいよっ」
「別にいいじゃないですか」
「だめっ、気になるっ」

今ここで答えろっ。
出た、仁王立ち+命令。さっきからこればっか。
普段イバり慣れてないのバレバレなのに、何故そんなに強気で来ようとするんだろう。

「可愛いなー、と思っただけですって」

正直に誉めた。
けど佐藤さんはカチンと来たらしい。

「・・・いい加減にしてよ、今日何度目よソレ」
「だから別にいいっつったじゃないですか」
「他に誉め言葉を知らないの?」

ふーん。そう来るか。

「肌が綺麗です」
「・・・で?」
「で、って言われても」
「他にはないの?」

――・・・もっと誉めてくれなきゃツマンナイ。

そんなことを言うので、思わず吹き出してしまった。

「何笑ってんのよーっ?!」
「すみません、でももういいじゃないすか。ほら、今並んだ方が確実に早く乗れますよ」
「ごまかすなっつてるでしょぉー!」
「じゃあ、たくさん誉めてあげたらつまんなくないんですか?」

う、と一瞬詰まった彼女がムキになって答える。

「あ、当たり前じゃないっ」
「ふーん・・・」

にーっ、と笑ってみせたら、ぴくっと後ずさった。素直すぎ。

「な、なによぅ・・・」
「そのうち、毎日誉めてあげますよ。どこが可愛いか、細かいところまでくまなく」

――・・・今は、可愛いところを探してる最中ですから。

・・・こんなセリフ言ったの初めてだったけど。

「な、なっ・・・バカじゃないのっ、もう知らないっ」

効果はテキメンだったみたいだ。
真っ赤になって目指してたはずのアトラクションとは別の方向に走る佐藤さん。

「おーい、そっちじゃないですってー」
「ううううるさいっ!来るなぁっ!」

・・・けっこう。
傍から見たらイイ感じに見えるようになったと思うんだけど。どうかな?

佐藤さんを追いかけながら、その反応のういういしさにまたもや、ニンマリして。

「まーたニヤニヤしてるっ、なんなのよもうっ」

また怒られたけど。
気にせずニマニマしてる俺を忌々しげに見る彼女も、なかなかいいので。それでいいや、と思った。